壬(みずのえ)と癸(みずのと)

壬 大きな水の力をあらわす「壬」は、大河の流れや、力強い海の水にたとえられます。清らかな水に「丙」の太陽が共にあるとき美しさは最高です。また、お母さんのお腹の中で赤ちゃんは羊水で守られているように、生命の誕生には水が欠かせません。妊娠の「妊」に「壬」があるのもうなずけますね。そんなことから、命式に水がない場合は子宝に恵まれにくいのですが、その場合は水を足す解決法があります。さて、よく「水もしたたるいい女(男)」いう表現をしますが、水は色気とも関係があります。水商売にもお色気は必要かもしれませんが、お色気は過ぎると「淫乱」の「淫」になりかねません。色気と正反対のようですが、水は知性をもあらわし、所謂「頭のいい人」は水が豊富にあるようです。水に勢いがありすぎると押しとどめるのは困難です。エネルギー溢れる「壬」の人が時々衝動的であるのはその為です。

癸 「壬」が知性のうちでも知識中心なのに対し、「癸」のひとの知性は雨水が大地を潤すような知恵であるといえます。滔々と流れる川の水に比べると目立たないように思えますが、「癸」のひとの発するひとことはまるで文殊の智慧のようです。それは、「癸」が「揆」に通じるせいかもしれません。「揆」には「はかる」つまり、「はかり知る」「推測する」の意味があり、また「管理する」意味もあるようです。また、物事の基準や計画という意味もあることから、「癸」のひとには物事をよくわきまえて順応性の高いひとが多くいます。そして能力もきわめて高いのですが、花びらに宿る雨水や露は外から見えにくいように、「癸」のひとの知性は押しつけがましくないし、とても謙虚です。秘密主義に見られることもあるかもしれません。また、雨水といえども集中豪雨のように一度に大量の水となると、いっきにパワーアップして破壊力を持ちかねません。