オバマさん、ありがとう~核兵器のない世の中への大きな一歩

今日5月27日夕方、アメリカ大統領のバラク・オバマ氏の広島訪問が実現しました。満を持しての訪問、その勇気と行動力と世界のリーダーとしての自覚に、心の底から感動します。

オバマ大統領が広島に滞在した50分というその間、広島の時間は止まったようだったと語る解説者もいます。それ程、オバマさんの被爆地広島の訪問は、たくさんの方の期待と喜びを担ったものとなりました。

Why do we come  to this place?「何故私たちはこの場所を訪れたのか?」で始まる17分にもわたるスピーチ。「亡くなったのは私たちとなんらかわらない普通の人々でした。」という言葉にオバマ大統領の本気を私は感じました。「子ども」という言葉も随所に出てきました。オバマさんのスピーチにはよく「子ども」が登場するなというのが私の印象です。「子ども」は未来の象徴です。核のない未来をいつの日か現実のものとしよう、これがオバマさんの心の底からのメッセージであると私は解釈しました。

17分にもわたるメッセージ、坪井直(つぼいすなお)さんとの握手をしながら笑顔の会話、8歳で被爆した森重昭さんと互いに強く抱き合う姿はたくさんの方の心に響いたと思います。

坪井直さんのメッセージは我が家の居間の壁に貼ってあります。昨年の7月29日の毎日新聞の記事です。以下その内容一部紹介します。

米ニューヨークの国連本部で昨年春、NPT再検討会議が約1ヶ月にわたって開かれた。広島県被団協理事長の坪井直さん(2015年で90歳)は2000年以降の3回渡米。今回は広島で行方を見守った。会議は決裂したものの、「それでも諦めない」と坪井さんは語った。命が続く限り、人体を傷つける放射能の恐ろしさを伝えていく覚悟でいる。「たとえ動けんようになっても、息と心臓が続く限りは声を上げてさけばにゃいけん。『人類よ、目覚めよ』と言いたいね」

20歳の時、広島の爆心地から1.2キロの路上で被爆し、3回危篤状態になっているそうです。大腸、前立腺の2つの癌、再生不良性貧血に加え、狭心症も抱え、常に舌下錠を持ち歩いているという坪井さん。結婚や就職など数々の差別も経験されたからこその説得力をもって、この度「ノーベル平和賞をもらってるんだから遊んでちゃだめ」とオバマさんと握手を交わしながら伝えてらっしゃいました。直接うったえることができて本当によかったですね。

会場に入れず外で見守っていた被爆者の男性は「謝罪や償いより、手を取り合って和の気持ちで、絆を広げたいという気持ちだと思う」と語っています。「力強いメッセージ、とても誠実で、オバマさんなら核兵器の廃絶に取り組んでくれる」と語る被爆者の方もいます。

安保法案が俎上に乗せられて以来、被爆地である広島・長崎の方たちの表情が曇っていましたが、今日は久しぶりに、その被爆者の方たちに安堵の色が戻ったようにも感じられました。

長崎の被爆者の方は長崎にも足を運んでほしかったという思いは残るでしょうが、それでも「来ていただいたことには感謝しています」と長崎で被爆して、その経験を語り継いでいる下平作江さんは語ってらっしゃいます。

表面的な薄っぺらなものではない、心の底から発せられたオバマさんのメッセージ。その言葉・行動が多くの被爆された方たちの気持ちに寄り添ったものとなったことが何よりも嬉しいです。

いつの日か私たちは生き証人である被爆者の声を聞くことができなくなるでしょう。しかし1945年8月6日の朝の記憶は決して消えることはありません。この記憶によって現状を変えようという気持ちを持つことができるのです。

私たちは人類という一つの家族の一員なのだと伝えていかなければなりません。だからこそ広島に来たのです。

広島と長崎は将来「核戦争の夜明けの地」ではなく、「道義的な目覚めの地」として知られることになるでしょう。(テレビ朝日 報道ステーション)

歴史に残る大きな一歩をありがとう、オバマさん。明日は、そのオバマさんの命式を読みとってみたいと考えています。本日もおつきあいいただきましてありがとうございました。

最後にオバマさんが記帳された言葉をご紹介いたします。直訳してみました。

We have knouwn the agony of war. Let us now find the courage ,together, to spread peace ,and pursue a world without nuclear weapon.Barack Obama

私たちは戦争の苦痛を経験している。共に平和を広め、核兵器のない世界を追求する勇気を持とう。バラク・オバマ