外食産業に異変~低価格に路線変更

夜、ニュース番組を梯子して見てましたら、ZEROという番組で「外食産業『低価格』回帰?」というタイトルで特集をしていました。背景に若者の節約志向が根強くあるのではないかという指摘がありました。

低価格が売りの新橋の居酒屋をまず取材していました。とある大衆酒場では、酎ハイが一杯290円、串焼きが一本90円、混み合う店内にいる20代30代にマイクを向けると、「安くておいしいお酒と食べ物で楽しくやっています」とコメントしていました。

またガストというファミリーレストランでは、ランチメニューを一新し、手頃な価格のメニューを10種類増やしたのだそうです。ワンコイン以下の499円(!)という値段で食べられるというから魅力です。たとえばミートソースのスパゲティは、通常サイズ499円のところ、量を2倍にして599円と価格を抑えて客を呼び込もうという作戦なのだとか。。

その店は、昨年度は「プチ贅沢」を打ち出して、過去最高の純利益をあげたものの、年末から若者を中心に客足が遠のいているのだそうです。そこで「低価格」プラス「ボリューム」のあるメニューで今年は違う路線に変えたらしいのです。

先月発表された3月の家計調査では、1世帯あたりの消費支出が昨年3月に比べて5.3%減っていて、そんなことからも節約志向は高まっていて、それに敏感に反応したのが外食産業なのだそうです。5.3%の減少がどれくらいのマイナスなのか、数字に疎い私には今ひとつピンときませんが、景気のよい話でないことはわかります。

またこの報道で初めてしったのは、牛丼業界が「デフレの象徴」と言われることです。その牛丼業界も色々な方法でお値段を抑えているらしいです。たとえばすき家では期間限定の割引を延長してたり、吉野家でも牛丼より安い豚丼を復活させたらそれが好調なのですって。それは年間目標の約3分の1を1ヶ月で達成した程らしいです。驚きです!

経済の専門家が言うには、低価格商品やお得感のある商品をプロモーションで打ち出すことでとりあえず集客を図るけれども、それでもうまくいかない場合は同じ商品の値下げということも考えられるとのこと。

この低価格への路線変更の背景には何があるのか?番組は続けます。

非正規雇用が雇用者全体の4割弱を占める中、若い人は人生の将来設計が立てにくいというのです。結婚できるのか、また結婚したとしても子育てをやっていけるのかどうか、今後の道は不安ばかりではないでしょうか。

老後の社会保障も、若い人たちからは諦めに似た声もよく聞きます。そういった若い人たちの厳しい懐(ふところ)事情も、この低価格に路線変更した背景にあるに違いないと分析していました。

職場の20代の同僚が先日このように嘆いていました。

「私たちが生まれたとき既にバブルがはじけていて、景気が悪いと言われる中で育ったんです。学校に入学する頃には、望んだわけではなにのにゆとり教育になってしまい、大学を卒業するころは就職氷河期ですよ。世の中からはゆとり世代だから甘いとか円周率は3だったの?とか聞かれて、まるで楽をしてきたみたいに言われ・・・こんな中で結婚も子育てもやっていけるのか。老後の保障も私たちの頃にはどうなるか・・・」

ちょうどニュースのコメントと同じ内容です。

低価格はありがたいけれども、価格が安くないと買えない事情があるのですね。ひとごとではありませんが。

今年はちょうど「二黒土星」の年。そのこともこの低価格の減少とおおいに関係があると言えましょう。「二黒土星」は庶民であり一般大衆をあらわします。ですから低価格で大衆的な産業は今年の象意そのままであると言えるのです。

また日本は江戸の頃から屋台で手軽に食べることのできるものが流行っていました。寿司・鰻・蕎麦・天婦羅など屋台で売っていたものは、元祖ファストフードと言えるかもしれません。今や鰻など贅沢になってしまいましたが、本来はお手頃で身近なものだったようです。そんな庶民的で伝統的なものに人の気持ちが動く傾向があるのが今年の傾向です。

大気の動きをいち早くキャッチすることは、経済の先取りにも生かしていけそうです。「気」の学問である「気学」は、まだまだ可能性のある分野なのかなぁと思った報道でした。そして、若者がのびのびと生きていける世の中を目指すことはこの国のための急務です。

本日もおつきあいいただきましてありがとうございました。