歴史を「知る」こと

天皇皇后両陛下がフィリピンにお出かけになっています。国交正常化60周年の記念行事に出席なさると同時に100万人以上も犠牲になった戦没者への慰霊のためです。

昨年より天皇皇后が各地に慰霊の旅に行かれる意味とは?何を国民に、いえ広く世界にうったえかけていらっしゃるのか?それをきちんと受け止めなければと強く思います。まずは、「知る」ことかなと思います。

恥ずかしながら、今日の「ニュースステーション」を見るまで、フィリピンと日本との関係について知りませんでした。ましてや次のような事実があったことなど・・・

1945年2月9日、第二次世界大戦中のマニラの市街戦で、エルビディオ・キリノ大統領は、目の前で美しい妻アリシアさんと5人中3人のお子様を日本の狙撃兵に殺されています。深い悲しみ。嘆き。しかしキリノ大統領の出した決断は「私は妻と3人の子ども、5人の親族を殺されたものとして、日本人を赦す最後の1人となるだろう。」というものです。

そう、「赦し」の決断です。憎しみの代わりに赦しです。上院も下院も特赦に反対している中、しかも1953年に行われる大統領選再選に不利になるにも関わらずです。

『負の連鎖を断つ』、大変な決断です。「近隣諸国特に日本とのつながりの扉を開けておくため」であったと、お孫さんのルビー・キリノさんはおっしゃっています。この英断があったからこそ、歴代の大統領にも受け継がれ、反日感情が次第にやわらいできたのです。

有難い話なのに、そのような歴史を知らずにいたことは本当に申し訳ないことだなと反省します。昨年のパラオ島そして今回の両陛下の慰霊の旅から、私たち国民はもっと自国のことを「知る」努力をまずはしないといけないなと強く思います。