母の愛~見守るひと・受け取るひと

今日より5月。皐月(さつき)になるとこんな和歌が思い出されます。

 五月待つ 花橘(はなたちばな)の香をかげば 昔のひとの袖の香ぞする  伊勢物語のお話に登場する歌です。

「昔のひと」とは、昔の恋人のこと。橘は初夏に白い花をつける柑橘系の植物です。橘の香りをかぐと昔の恋人が袖にたきしめた香りを思い出すという歌ですが、実際は花の香りではなく酒の席で出されたみかんの香りだったようです。しかもかまってやらなかった女房がほかの男の妻になっていた、そんな男が詠んだ歌です。知らなきゃよかった歌の意味ですね。美しい女の歌であってほしかったな。

 

さて爽やかな5月の陽気にふさわしい、この春高校を卒業したばかりのお嬢さんが今日のクライアントでした。依頼主は彼女のお母さまに当たる方で、かつて地元の小学校や中学校のPTAで共に活動した仲間です。

昨年秋に、そのお嬢さんが困っているようだからと鑑定の依頼を受けましたが、やっと心の準備ができましたとのことで、本日お会いして鑑定する運びとなりました。

お嬢さんのSさんは今現在は将来のお仕事に向けて夢を持って日々過ごしてらっしゃいますが、昨年は現実に目を向けることをせずに逃避するような生活をしていたといいます。社会に見せる彼女は知性の人です。社会運をあらわす月の柱にとても強い「水」があるのです。しかし自分自身は「乙(きのと)」のお花です。本来の自分とはどこか違う自分に見られること、振る舞うことにくたびれていたのだと思います。

命式を出してみると、ちょうど今が運気の変わり目に当たり、ご自分自身である日干の「乙(きのと)」を強める「甲寅(きのえとら)」がまわってきています。その次にまわる「乙卯(きのとう)」もやはり強い「木」の運気です。ようやく本当の自分を発揮する時がやって来たのです。

今彼女はぐっと強い自分となり、一流のホテルマンとして働くべく希望に満ちた毎日を送っているのが、命式からも、実際にお会いした印象からもうかがえました。私を見つめる瞳に力を感じました。

強い「木」の運気の20年間のあとやって来るのが「天上三奇」と呼ばれる時期です。命式内の「丁(ひのと)」「乙(きのと)」に加え、大運で「丙(ひのえ)」が廻るのです。「丁」は夜空に輝く星を、「乙」は月、「丙」は太陽です。この3つが同時にあらわれる時期は、天才的ともいえる活躍をすることが想像できるのです。彼女がもともと持っている「目上の引立てを受ける」運の良さが、恐らく「天上三奇」の時期に花開くということです。

若い方の鑑定はこのように飛躍の未来を見ることができてわくわくします。また反対に人生でいろいろ経験されてきた方の鑑定は、その一つ一つを確認していく作業に感動させられます。

ひととおり鑑定を終えて、最後にルーンストーンをひいていただきました。Sさんは「ギフト」を表す「ギョフ」という石をひきあてました。精神的なものも含む「贈り物」という意味を持つ石です。また「愛情」をも意味し、「幸福感に包まれる」「深く信頼し合える」ということでもあります。

ご自分のことはさておいて娘の幸せを第一に考える友人にも、ひとつ石をひいていただきました。「ベオーク」が出ました。アルファベットのBに似た形を記したその文字は、「すくすく成長していくこと」とその「成長を見守る慈愛の心」をあらわします。つまり母性の石なのです。まさしく今の彼女そのものなので驚きました。

おふたりとも無心で石をひかれました。そしてあまりにぴったりな石をひきあてたのです。ドラマよりドラマチックなことを鑑定の場ではよく見せていただけるのです。

実は友人は5人の子の母なのです。バイタリティー溢れる彼女は長らく外の世界で活躍されてきたのですが、今現在の彼女の目は、結婚や就職、進学という人生の節目にさしかかったそれぞれの子どもたちに向かっています。頭が下がる思いです。

鑑定後、Sさんの手作りのフロランタンをご馳走になりました。それはなんと私の大好物です。お菓子も美味しく、幸せな気持ちで今日の鑑定を終えたのでした。

本日もお読みいただきありがとうございました。

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